Sリアの光沢のあるフェイクレザーが気に入って、手製本材料に用いました。品のある鈍い光沢が面白い生地です。いくらかの経験から、使用に際しての留意点を記録しておきます。
- 接着剤:
表面のフェイクレザーと同じ表面、または、紙類とは薄ボンドまたは糊ボンドでも接着する。
ただし、裏面フェルト地と同じ裏面や、裏面フェルト地と厚くて張りのある製本クロスを接着させる場合は、手芸用ボンド、強力木工用ボンドなどの原液に近い濃度で用いる。
プレス機推奨。
- 穴あけ:
綴じ糸を通すための直径2mm位の穴を開ける場合は、クジリや目打ちを使う。ポンチや鳩目打ちでは穴が開かない。
それでも先丸の綴じ針が通らないときは、先端が尖ったマスト針などを用いる。
- 斜め漉き:
裏面フェルト地側の折り返しヘリや角の漉きはほぼ不可。カッター刃では削げない。彫刻刀(平刀)で地道に裏フェルト地の繊維をこそげ落とすように除いていくか、断面ゼロをあきらめて表面のフェイクレザー側から裏面に向かって45度の角度でハサミやカッターで断つ。
- 厚みによる影響:
フェイクレザーは1mm弱厚あるため、表紙芯材と紙目を合わせて画用紙を表紙芯材裏側に貼るなどして折り返した表紙裏の段差を埋める。表紙芯材とフェイクレザーを足した厚みに応じて、チリを拡げたり(例:2mm→3mm)、表紙芯材の角から離してのフェイクレザーを切る箇所を4mm以上(=表紙芯材2mm厚+フェイクレザー1mm厚+チリを考慮した角からの折返し)にしたりする。
- エンボス効果:
厚みと裏地のフェルト地の性質のため、際を目立たせるには板紙1mm厚分より2mm厚分の段差を設ける。プレスするときは輪郭より2mmずつ大きめの型をはめるとよい。