和紙について
種類
糊入紙(のりいれがみ):米糊を入れて漉いた紙。虫害を受ける要因ともなるため、明治中期以降は廃止。
脂入り紙(やにいりがみ):松脂(まつやに)を入れて漉いた紙。
粕紙(かすがみ):楮の皮を粕といい、それをいれて漉いた紙。
落水紙(らくすいし):水を落として穴をあけた紙。
揉紙(もみがみ):漉きあがった紙を揉んでシワをつけ、やわらかくした紙。
板締染紙(いたじめそめがみ):紙を屏風だたみして板を両面から当てて縛り染色した紙。
柿渋紙(かいしぶがみ):柿の渋を塗って防水性を高めた紙。
障子紙
奉書紙(ほうしょがみ): 武家社会で公文書用に使用されていた厚い楮紙。
図引紙(ずひきがみ):高知県で開発された製図用の紙で三椏を原料とした薄紙。
清帳紙(せいちょうし): 帳簿の清書用の紙。
薬袋紙(やくたいし):雁皮を原料として蘇芳(すおう)と楊梅皮(ももがわ)の染料で染めた紙。耐久性があり、香りを保つことができたので、薬を包むのに用いられた。
裏打紙(うらうちがみ):補強のために、紙や布の裏面に張る紙。
箔打紙(はくうちがみ):金箔や銀箔を打ち伸ばすときに使う紙。
箔合紙(はくあいし) :金箔や銀箔を1枚ずつ剥がしやすくするために箔の間に挟む紙。
温床紙(おんしょうし):苗床の囲いに張る紙。
拓紙(たくし):拓本に用いる紙。
補修に使う和紙(原料が楮100%のもの)
物性が比較的安定している
資料に及ぼす影響が少ない
必要があれば資料を補修前の状態に戻すことができる
原料の繊維が長く資料とのなじみが良い
和紙の厚みと用途
4 種類程度の厚さを用意して本文用紙の厚さに応じて使い分ける
- 極薄(典具帖紙) 5g/㎡程度 文字の上から補修する場合に使用
- 薄(薄美濃紙) 10g/㎡程度 文字のない部分の破れの補修
- 中厚(薄美濃/細川紙) 20g/㎡程度 ページ欠損の補修
- 厚(細川紙) 30g/㎡程度 ページ欠損の補修
※ より厚い補修紙が必要なときは、貼り合わせて厚くする
和紙の数え方
紙はふつう「1枚・2枚」、出荷するときの単位は「帖」「束」などを使う。例えば、美濃紙1帖は48枚、1束は10帖のため、美濃紙1束は480枚となる。
和紙の厚さの表し方
和紙の厚さを表すには、「××ミリの紙」ではなく、「××匁(もんめ)の紙」という。「匁」は、重さを表す単位であり、同じ面積の紙であれば、重い方が厚いことになる。
美濃判の大きさは約27.3×39.4cm、二三判の大きさは2×3尺(約60.6×90.9cm)であるので、美濃判は二三判の約20%の大きさである。例えば3匁の二三判は約11.25g(1匁=3.75g)であるから、3匁の美濃判は二三判の約20%、実際には約2.25gになる。
※これは、あくまでも紙厚を表す表現方法で、実際の重さとは関係ない。